夏に食べる和菓子として、「羊羹」や「ところてん」、「葛餅」、「わらび餅」、「久寿餅」をイメージすると思います。
どれも冷蔵庫で冷やして、つるんとしたのど越しで体の中に入っていく冷たい感覚に、暑い体が冷やされているのを感じることが出来る和菓子です。
無二ぱんだは東京に住んでいましたので小さい頃からスーパーで見かけるものは「くず餅」が多く、わらび餅というと、青い発泡スチロールのお皿に透明な丸い玉がいくつも入っていて、黒蜜ときなこ、それに竹を模したプラスチックの棒が一本入っているのを「わらび餅」と呼んでいました。
と、ここまで目を通してきたあなたは、タイトルにあります葛餅とわらび餅、久寿餅の違いに疑問が浮かんだと思います。
さきほど無二ぱんだは、関東で見かけるのはくず餅だと言いました。
そう、葛餅と久寿餅、両方とも「くず餅」と読むんですよね。
では葛餅とわらび餅、久寿餅の違いは何が違うのか、また関東と関西では、くず餅はどちらの漢字を指す言葉なのかを解説していきますので、ご参考にして下さいね
「葛餅」と「わらび餅」と「久寿餅」の違いは?
原材料と作り方が違うのでまずは一つ一つ分りやすく解説していきますね。
葛餅とは
マメ科の多年草の根から取り出したでんぷんで作られた葛粉を使ったものを指しています。が、100%葛粉を使用したものは本葛といい、少々お高め。最近では、本葛の割合が5~7割入っていれば本葛と呼ばれています。
工場生産で作られている葛餅の原材料の葛粉は、ほとんどがジャガイモやサツマイモのでんぷんを使用したものとなっています。たまにトウモロコシのでんぷんであるコーンスターチーも利用されています。
作り方
水に葛粉と砂糖を入れて混ぜ溶かし火にかけて練ったもの。
和菓子用語では本練りといいます。
本葛を使用した手作りの賞味期限は2日ほど。
スーパーで売られているものは寒天や砂糖が多めで賞味期限は長め。
黒蜜ときなこをかけて食べます。
食感は…無二ぱんだは食べた事が無いのでわかりません!
わらび餅とは
ワラビ(蕨)の根から取ったでんぷんを乾燥させて作られた粉を使用したものを指しています。蕨は山菜の一つとして、山へ行き採取している方も多いと思いますが、山菜の蕨の根から取ったものです。
こちらも葛粉同様に、100%わらび粉を使用したものは本わらび粉と呼ばれています。
近年ではワラビ粉の入手が困難となり、サツマイモやタピオカのでんぷんを使用したものが増えている模様。
手軽に作れる簡単レシピの中に片栗粉を代用しているものがあるのは、でんぷんには変わりはないからだと思われます。
作り方
水にわらび粉と砂糖を入れて混ぜ溶かし、火にかけて練ったもの。
常温でそのまま食べるか、黒蜜ときなこをかけて食べます。
本わらび粉を使用したわらび餅は、とろ~んとしていてスプーンですくって食べたりしますが凄く柔らかいです。
ふにゃ~ん、とろ~んていう感じ。
スーパーで売られているものは、トレハロースという糖が含まれているので、でんぷんの固まりを抑えプルンプルンしています。
久寿餅とは
小麦粉の中のでんぷんを使った和菓子の中で唯一の発酵食品です。
作り方
小麦粉を練り、でんぷんのみを水と一緒に沈殿させ1年ちょい乳酸発酵させて、水洗いを数日かけて行い酸味分を取り除き、型に入れて蒸したもの。
どのくらい寝かせるかは、企業によって異なるようで、船橋屋では450日、川崎大師の住吉では13か月寝かせています。
葛餅とわらび餅に比べて、少々工程に時間が掛かりっているのが判りますね。
黒蜜ときなこをかけて食べます。
冷やして食べると、もっちもち。常温ですと、もちっ、くにゅとした食感です。
東京ではお馴染みなので好きな人は多いと思いますが、関西とは真逆の食感ですので好き嫌いが分かれるかもしれません。
関東と関西でのくずもちとわらび餅の違いと名前の由来
画像にありますように左は関西のくずもち、右側は関東のくず餅になります。
見た目からも全く違いますよね。
無二ぱんだがよく食べているくず餅は、右側の白い三角形をしたくず餅です。
ではそもそも関西と関東でなぜ違いがあるのかを見ていきましょう。
関西のくずもち
さきほどそれぞれの違いと作り方のところで、葛粉の原材料はマメ科の多年草だと説明しましたが、多年草とはそもそも一度種を蒔き花を咲かせると、その翌年も種を蒔く必要がなくずっと咲いてくれる植物を指しています。
くずもちの由来を調べると万葉集の中の一文にわらび粉に葛粉を混ぜたものを葛餅として食べていたという一文が出てくるようです。
本葛として良質なものは奈良県の吉野から作られている吉野葛が有名ですね。
関西のわらび餅
わらび粉の国内産地は南九州が多く、奈良や京都を中心として広まっていきました。
関東圏の無二ぱんだは、関西で食べられている本場のわらび餅自体は通販か旅行でないと食べる事が出来ません(泣)
葛の根と違いわらびの根は凄く細く、ワラビ全体からでんぷんが5%ほどしか取れないため、本わらび餅は大名しかたべることが出来ない高級品でした。
そのため、江戸時代に入ってから庶民でも食べられるように、葛粉にわらび粉を混ぜたたものを「わらび餅」として広く伝わっていきました。
もっとも現在では本わらび粉は国産では鹿児島しか手に入ることは出来ず、芋やジャガイモ、中国からのものが多いです。
関東のくずもちの名前の由来
関東の下総国葛飾郡船橋では良質な小麦粉が産地で
その小麦粉を使い茹でて練って蒸した餅を葛飾郡の地名から葛を取って「葛餅(くず餅)」とした、という説と、
久遠寺というところが作り久遠餅にしようとしたら久寿になり、久寿餅(くず餅)となった、という説と
川崎大師の河原で久兵衛という人が納屋に置いておいた小麦が雨で流され、被害を最小限に抑えるために小麦粉と雨水をこねて樽に入れて置いたら樽の底にでんぷんが沈殿しているのを発見。それを固めて蒸したら餅が出来たので、久兵衛さんの久という字と無病長寿の寿を合わせて「久寿餅」とした
という説の3つが現在あるようです。
ちなみに、1番目の説から現在でも作り続けられているくず餅が船橋屋になり、
3番目の説の川崎大師では久寿餅として現在、船橋屋さんと川崎大師周辺のお店では売られています。
2番目の説の由来を調べてみたのですが、判りませんでした。
無二ぱんだが思うには、本葛餅は奈良県の吉野で食べられていて、あそこのくず餅美味しいよな~と会話があって、お互いが頭の中で想像している餅が違っていただけなのかな?なんて思ったりしました。
ひな祭りのイベント時に食べる、雛あられも、関西と関東で食べられている物が違っていたという記事を少し前に書いて判る通り、案外、呼び方は同じでも中身は違うものだったりするって多いのかな~、なんて。
わらび餅は冒頭に書いた通り、東京では青いプラスチックのお皿に透明な丸い玉が乗ったもの以外はサツマイモやジャガイモのでんぷんを使った物が多いように感じます。
なぜなら、本わらび粉は黒いからです。
どれくらい黒いかといいますと、
これぐらいに真っ黒なんです。
こんなに黒いわらび餅は見た事がないので、こちらの粉を購入しご自身で本場の出来立てのとろ~~っとしたわらび餅を作りTwitterやインスタで自慢することも出来ますので
写真を引用したサイトを紹介しますね。
とろ~~っ出来立てにきなこと黒蜜をかけて食べて皆に自慢したい方はこちら>>和菓子材料処京都ヤマグチ
「葛餅」と「わらび餅」と「久寿餅」とは?関東と関西のくずもちの違いは歴史にあった!?
調べてみると、それぞれの原材料の違いと作り方も異なっていたこともさることながら、一口にくず餅と呼ばれているものにも、ずいぶん違いがあることが判りましたね。
わらび餅に至っては、通常のスーパーで売られているわらび餅と本わらび餅の差がひど過ぎて、笑うしかないレベルです。
ですので、関西の方は本わらび粉を使った本わらび餅をたべることができるので羨ましいです(ノω・、) ウゥ・・・
東京で歴史があるくず餅は船橋屋さんの他に、住吉さん、舟和さんは現地で購入することも出来ますし、オンラインサイトもありますのでご興味がありましたら、ぽちっと押してみてくださいませ。
最後までお読み頂きありがとうございます。