昨日の夜にね、ふと色々あった過去の出来事を思い返していたの。
ツイッターをやってて目にする機会が多い魔法の言葉
「あなたのことを思って言ってあげているのにどうしてわからないの!」
この言葉を口にする人は、自分の思い通りにしたい支配欲がある人だから、こういう人からは距離を取りましょう、って。
ちょっとこれからとある家族の話をするので、口をうるさく言うのは悪い事なのか?考えてみて。
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俺、ゆうき。20歳、親と同居中、週3コンビニバイト、テストは中の下。
大学なんて追試にならなきゃいいっしょ。就職活動しなきゃだけど、正直何になりたいか判らないんだよね~。だってどこも不景気じゃん?給料は貰えるだけマシって聞くけど、それならバイトしててもイイと思うんだよなー。食えてるし。
少し前に、仲のいい洋平がさ、ロックフェスに行かないか?って誘ってくれた。
ライブとか行ったことがなかった俺は、初参加。
人の活気と熱意と盛り上がる歌詞と声量に心臓を貫かれた。
すげーーー、ロックってこんなにも熱いんだ!!あのボーカルの人超カッコイイ!!!
俺の進路決まった。ミュージシャンになる!
興奮冷めやらぬまま洋平と別れたその日の夜、夕飯を食べながら母さんに話した。
「母さん、俺ミュージシャンになるわ!」
「えっ?」
「今日フェスに行ったんだけどさ、凄かったんだよ!歌と歌詞が心にガツーン!と響いてさ、客席も凄い盛り上がってて熱いの!!」
「……それ本当に言ってる?進路……嘘じゃないわよね?」
「マジ、マジ。俺、ミュージシャンになる」
「……ちょっとお父さん帰ってきてから相談しましょう」
「は?なんで?子供が未来の進路決定したって喜ぶところじゃね?なんでお父さんも入れるの?意味わかんねー」
「あなたの大事な進路に関わることなんだから、お父さんも参加するのは当たり前でしょう」
「はー、マジで意味が分からない。あなたのためを思って言ってるんだとしたら、俺をそんなにコントロールしたいのかよ!」
-----------------父親帰宅-------------------
「ちょっとお父さん聞いてちょうだい。ゆうきが進路をミュージシャンにするっていうの」
「え?なんだそれは」
「今日ロックフェスにお友達に誘われて行ったら、凄い興奮したらしくって。自分もお客さんを興奮させたい!心に響かせる歌手になるんだ!ってハイテンションなの」
「今日だけじゃないのか?」
「……ほとぼりが冷めたら進路が変わる事もありえそうなんだけど、今はとにかくなりたいばっかで……ちょっとお父さんの口からもなんか言ってくれない?」
「……ん、わかった」
------------------夕飯の時間--------------------------
「ゆうき、母さんに聞いたけど、お前ミュージシャンになりたいって本当か?」
「そうだよ。あんなに熱いの初めてだったんだ。俺の心にこう……ビキーーーン!ってきたんだよ。俺が探し求めてたのはこれだ!!!って。親父なら判るよな?しょっちゅうロック聴いてるみたいだし」
「聞いてるのとなりたいのは違う。そもそもお前なりたいって初耳なんだが」
「そりゃそうだ。今日初めて行って決めたんだし。進路とかなりたいもんっていうのはさ、直感で決めるのが大事っていうじゃん?俺はビビっときたわけよ」
「なりたいって簡単に言うが……音楽事務所はどこにするのか決まってるのか?大学卒業したら一人暮らしするんだろう?家賃はどうしていくんだ」
「音楽事務所?それはこれから面接をして決めればいいじゃん。家賃は……引っ越ししないでこのまま同居したままでいたら家賃払わずにいけるからそれでいいよ」
「受けてもいないのに突然なりたいと言われて、はい、そうですか、とは言えないよ」
「は?なんで?ずっと決まってなかった進路を俺自身が独りで決めたんだよ?俺も、もう20歳だよ?大人なんだからさ、素直にそこは喜んで応援してくれるんじゃねーの?」
「応援は……できないな。進路をそんな簡単に安直に決めるお前には無理だ」
「なんで?無理とかいうなよ、やってみなきゃわからないじゃん!」
「これはお前のためを思って言っているんだ」
「親父もそんなことをいうのかよ……毒親じゃねーと思ってたのによ」
ゆうき、キッチンを後にし部屋にこもり、ネット上で愚痴る。
両親視点
ゆうきの母です。年齢は40歳。週5のパート勤務で朝9時~17時まで働き少しでも生活費を工面しています。
一人息子のゆうきは、勉強が大の苦手で、テストはいつも赤点ギリギリ。
熱しやすく冷めやすい性格で、どこか楽天的。なんでもポジティブに考えるのは良いんですけど色々深く考えるのは苦手なようで、突拍子もないことをいいがちで……つい心配しちゃってあれこれ言ってしまうんです。
今日も夕飯どきに、ゆうきが突然進路を決定したようなんですが、それがなんとミュージシャン。突然の出来事すぎて、つい気が動転して素直に喜べませんでした。
私一人で決定しちゃだめだ、咄嗟にお父さんを巻き込んでしまう失言をしてしまいました。
お父さんごめんなさい。
だって、ゆうきはとある歌手の歌と音に感銘を受けたみたいですが、小中高のゆうきの音楽の授業は毎年2、おせじにも歌は上手いといえず。
私やお父さんが若い頃は色々なライブに行ったりフェスへ行ったり……楽しい思い出もあるので、ゆうきが興奮していい体験をしてきたことは素直に喜ばしい気持ちなんですが、今まで全く音楽に興味を持たずパソコンとばかり向き合ってきた子に、お金を稼ぐ重要さを理解しているのかどうか……不安で心配なんです。
路頭に迷ったらどうしよう?CDが売れずにお財布がすでに軽い状態でいたら?人気が出なかったら?進路を決定したと言っても、どの程度まで具体的に本格的に考えてミュージシャンになりたいと言っているのか、本気度が判らず、ついあれこれ厳しい言葉を投げたら、毒親なんて言われてしまいました泣。
最近よくニュースで耳にしますね。毒親って言葉。
私って……毒親なのでしょうか。
どういう風に育てたいか、なんて、健康で素直で明るく元気に育って欲しい。
ただそれだけなのに。人気がなくて売れずに路頭に迷うことになったら安全な場所で寝る場所もままならないだろうし、健康でいられるかどうかも怪しい。
厳しくあれこれ言うのは、あの子のことを本気で心配してるからで、私の思い通りにしたくていってるんじゃないのに……どうしたら分かってもらえるのでしょうか(苦悩)
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この家族のお話は創作です。
よくありそうな家族の進路に関しての会話を作ってみました。
距離を取らないといけない真の相手は、私だけはあなたの味方です、と息を吸うように優しい嘘を吐きながら近づき、周囲の人達から孤立させるために言葉をかけてくる人ではないでしょうか。心の底から心配してくれる人って大事ですよ。良い年齢になると、心配してくれる人なんていなくなりますからね。そこらに転がってる小石と化しますから。
さておあとがよろしいようで。これにてどろん。
最後までお読み頂きありがとうございました。